
01 - 栽培
これからつくるのは「土地を表す味がするワイン」
私たちがこれからつくるのは、「日本固有種から生まれた新しいブドウ品種による、自然派ワイン」です。日本の高温多湿な気候では、ブドウは病気にかかりやすく、それを防ぐためにはたくさんの農薬を撒くことになります。
私たちがこれからつくるのは、「日本固有種から生まれた新しいブドウ品種による、自然派ワイン」です。日本の高温多湿な気候では、ブドウは病気にかかりやすく、それを防ぐためにはたくさんの農薬を撒くことになります。

02 - 品種
なぜ群馬県で
新しいブドウ品種をつくるのか
露地に自生しているヤマブドウは、土地の気候に適応し、病虫害に強いのが特徴です。生食用のブドウとは異なり、小さな実をつけ、風通しが良いため病気になりにくい特性を持っています。
露地に自生しているヤマブドウは、土地の気候に適応し、病虫害に強いのが特徴です。生食用のブドウとは異なり、小さな実をつけ、風通しが良いため病気になりにくい特性を持っています。

03 - 育種家
育種家・林慎悟がやる仕事
林慎悟(はやし・しんご)は岡山県岡山市でコメ・モモ・ブドウを栽培する農家に生まれ、100種類以上のブドウを栽培しながら新しいブドウ品種を開発しています。
林慎悟(はやし・しんご)は岡山県岡山市でコメ・モモ・ブドウを栽培する農家に生まれ、100種類以上のブドウを栽培しながら新しいブドウ品種を開発しています。

04 - 醸造家
栽培醸造家・大岡弘武がやる仕事
自然派ワイン醸造家であり栽培家である大岡弘武(おおおか・ひろたけ)は、フランス・ボルドー大学醸造学部と醸造栽培上級技術者養成校で学び、2002年からフランスでワインをつくってきました。2016年に日本に戻り、日本の自然派ワインの状況を大きく変えている人物として知られています。耕作放棄地に日本固有品種のワイン用ブドウを植え、古い米倉庫を醸造所に改装しました。使用する設備も独特で、フランスで使われていた80年ほど前の垂直式プレス機や40年ほど前の水平式プレス機、日本酒の蔵で使われていたホーロータンクなど、中古を活用しています。特にプレス機にはこだわりがあり、ワインの味を決定づける重要な要素と考えています。大岡は、群馬県自然派ワイン研究会の顧問として、栽培の指導や新しいワイン用ブドウ品種を使った醸造のアドバイスを行う予定です。「ヤマブドウ系の品種は、グランヴァン(高級ワイン)になる条件を満たしています。しかも「亜硫酸無添加の自然派ワインをつくるのにも適しています」と語り、群馬県での新しい自然派ワインの取り組みに大きな期待を寄せています。群馬での挑戦は、自然派ワイン界に新たな注目を集めることになるでしょう。
自然派ワイン醸造家であり栽培家である大岡弘武(おおおか・ひろたけ)は、フランス・ボルドー大学醸造学部と醸造栽培上級技術者養成校で学び、2002年からフランスでワインをつくってきました。2016年に日本に戻り、日本の自然派ワインの状況を大きく変えている人物として知られています。耕作放棄地に日本固有品種のワイン用ブドウを植え、古い米倉庫を醸造所に改装しました。使用する設備も独特で、フランスで使われていた80年ほど前の垂直式プレス機や40年ほど前の水平式プレス機、日本酒の蔵で使われていたホーロータンクなど、中古を活用しています。特にプレス機にはこだわりがあり、ワインの味を決定づける重要な要素と考えています。大岡は、群馬県自然派ワイン研究会の顧問として、栽培の指導や新しいワイン用ブドウ品種を使った醸造のアドバイスを行う予定です。「ヤマブドウ系の品種は、グランヴァン(高級ワイン)になる条件を満たしています。しかも「亜硫酸無添加の自然派ワインをつくるのにも適しています」と語り、群馬県での新しい自然派ワインの取り組みに大きな期待を寄せています。群馬での挑戦は、自然派ワイン界に新たな注目を集めることになるでしょう。

05 - 馬耕
中山間地域で、
馬耕型の農業を目指す
群馬県には古代大和朝廷時代から、「牧(まき)」と呼ばれる馬の牧場がありました。馬は5世紀に朝鮮半島からもたらされたもので、5世紀後半から上野(こうずけ=群馬県の古い呼称)各地の牧で飼育し、朝廷に馬を貢上していました。古代の上野には9ヶ所の牧があり、そのうち半数以上が榛名山の山麓の中山間地域にあったと推定されています。6世紀の榛名山の噴火によって、広範囲に軽石が降り、土石流によって平坦な土地ができて、放牧に適した地形になっていたのです。私たちは将来的に馬を使って畑の仕事をするなどの馬耕型の農業を考えています。大型動物である馬を導入することで、シカやイノシシ、サルなどの野生動物が畑に近づかないという効果もあると言われています。また、馬にふれあうことで人間が癒されることが知られています。乗馬はもちろん、馬の手入れや管理によって、人間の心理に変化があることがわかっています。この「ホース・セラピー」を取り入れ、馬とふれあう取り組みを農業と組み合わせることも考えています。
群馬県には古代大和朝廷時代から、「牧(まき)」と呼ばれる馬の牧場がありました。馬は5世紀に朝鮮半島からもたらされたもので、5世紀後半から上野(こうずけ=群馬県の古い呼称)各地の牧で飼育し、朝廷に馬を貢上していました。古代の上野には9ヶ所の牧があり、そのうち半数以上が榛名山の山麓の中山間地域にあったと推定されています。6世紀の榛名山の噴火によって、広範囲に軽石が降り、土石流によって平坦な土地ができて、放牧に適した地形になっていたのです。私たちは将来的に馬を使って畑の仕事をするなどの馬耕型の農業を考えています。大型動物である馬を導入することで、シカやイノシシ、サルなどの野生動物が畑に近づかないという効果もあると言われています。また、馬にふれあうことで人間が癒されることが知られています。乗馬はもちろん、馬の手入れや管理によって、人間の心理に変化があることがわかっています。この「ホース・セラピー」を取り入れ、馬とふれあう取り組みを農業と組み合わせることも考えています。

06 - 自然派ワイン
これからの食と
自然派ワイン
栽培醸造の顧問である大岡弘武がつくっているワインは、15年ほど前から世界的に有名なデンマーク・コペンハーゲンのレストラン「NOMA(ノーマ)」のリストに入っています。NOMAは自然派ワインだけを提供しているレストランです。NOMAの料理は、豊かとは言えない北欧の食材を使った革新的で清新なもので、シェフのレネ・レゼピが2004年に発表した「新北欧料理のマニフェスト」は、地域を表現する料理を目指すという宣言でした。「ブドウしか使っていないワイン」、つまり酸化防止剤などの添加物が入っていないワインをつくることがさらに求められるに違いありません。私たちは食と調和する、自然な味わいのワインを目指していきます。また将来的には、ワインと地元の食材を使った料理を提供できる施設もつくりたいと考えています。
栽培醸造の顧問である大岡弘武がつくっているワインは、15年ほど前から世界的に有名なデンマーク・コペンハーゲンのレストラン「NOMA(ノーマ)」のリストに入っています。NOMAは自然派ワインだけを提供しているレストランです。NOMAの料理は、豊かとは言えない北欧の食材を使った革新的で清新なもので、シェフのレネ・レゼピが2004年に発表した「新北欧料理のマニフェスト」は、地域を表現する料理を目指すという宣言でした。「ブドウしか使っていないワイン」、つまり酸化防止剤などの添加物が入っていないワインをつくることがさらに求められるに違いありません。私たちは食と調和する、自然な味わいのワインを目指していきます。また将来的には、ワインと地元の食材を使った料理を提供できる施設もつくりたいと考えています。

07 - ワイナリー
自然と調和する
ワイナリー
私たちはワイナリーを持ち、自然派ワインの醸造を始める予定です。ブドウの木が若くて収穫がない、または少ない時期は、有機栽培のブドウを購入して天然の酵母で醸造することになります。ワイナリー自体も、環境と景観に配慮したものを目指します。醸造設備に関しては、栽培醸造家の大岡弘武の経験に基づくアドバイスを受けながら、進めていく予定です。既存の建物を使うことも選択肢に入れています。
私たちはワイナリーを持ち、自然派ワインの醸造を始める予定です。ブドウの木が若くて収穫がない、または少ない時期は、有機栽培のブドウを購入して天然の酵母で醸造することになります。ワイナリー自体も、環境と景観に配慮したものを目指します。醸造設備に関しては、栽培醸造家の大岡弘武の経験に基づくアドバイスを受けながら、進めていく予定です。既存の建物を使うことも選択肢に入れています。

08 - グローバル
世界標準の
自然派ワイン
1980年代、フランスで有機農法によるブドウ栽培と、酸化防止剤を使わないワインづくりが始まりました。当時の農薬や添加物を多用する、主流の栽培・醸造法に疑問を持ったつくり手たちが、この動きを牽引しました。また、昔ながらの製法を守り続けた結果として、自然派と呼ばれるようになった人々もいました。こうした先駆者たちによって自然派ワインが生まれ、これを評価する消費者やレストラン、ワインバーが台頭していきました。1990年代後半、日本でも自然派ワインに注目する動きが見られ、輸入が本格化しました。日本が世界の中で自然派ワインに早く注目し、積極的に消費した背景には、「自然は尊重すべき対象」「人間は自然の一部」と考える日本人独特の自然観が影響しているのかもしれません。2000年代になると、日本国内でも自然派ワインの醸造が始まりました。私たちは、自然派ワインとの親和性が高い日本という土地で、世界に求められるレベルのワインづくりを目指していきたいと考えています。
1980年代、フランスで有機農法によるブドウ栽培と、酸化防止剤を使わないワインづくりが始まりました。当時の農薬や添加物を多用する、主流の栽培・醸造法に疑問を持ったつくり手たちが、この動きを牽引しました。また、昔ながらの製法を守り続けた結果として、自然派と呼ばれるようになった人々もいました。こうした先駆者たちによって自然派ワインが生まれ、これを評価する消費者やレストラン、ワインバーが台頭していきました。1990年代後半、日本でも自然派ワインに注目する動きが見られ、輸入が本格化しました。日本が世界の中で自然派ワインに早く注目し、積極的に消費した背景には、「自然は尊重すべき対象」「人間は自然の一部」と考える日本人独特の自然観が影響しているのかもしれません。2000年代になると、日本国内でも自然派ワインの醸造が始まりました。私たちは、自然派ワインとの親和性が高い日本という土地で、世界に求められるレベルのワインづくりを目指していきたいと考えています。

09 - 山育
自然派ワインづくりで「山を育む」
このプロジェクトでは、自然派ワインづくりを山間地とその周辺、つまり中山間地域で行うことによって、この地域を保全しながら新しい産業をつくり出したいと考えています。私たちはこれを「山を育む」ことと呼んでいます。日本の中山間地域は国土の約64%を占めており、耕地面積の約40%にあたります。この地域は雨水を一時的に溜めておく機能を持ち、土砂崩れを防ぐ機能も持っています。農業の生産条件が不利な地域でもあるので、何らかの工夫によって有効利用することが必要です。傾斜地でもブドウは植えられます。自然派ワインづくりは、有機農法でブドウを育てることから始まります。私たちは持続可能な農業としてのブドウづくり、ワインづくりを中山間地域で実践していきます。自然と共にあることが、大きな価値を生むことを確信しています。
このプロジェクトでは、自然派ワインづくりを山間地とその周辺、つまり中山間地域で行うことによって、この地域を保全しながら新しい産業をつくり出したいと考えています。私たちはこれを「山を育む」ことと呼んでいます。日本の中山間地域は国土の約64%を占めており、耕地面積の約40%にあたります。この地域は雨水を一時的に溜めておく機能を持ち、土砂崩れを防ぐ機能も持っています。農業の生産条件が不利な地域でもあるので、何らかの工夫によって有効利用することが必要です。傾斜地でもブドウは植えられます。自然派ワインづくりは、有機農法でブドウを育てることから始まります。私たちは持続可能な農業としてのブドウづくり、ワインづくりを中山間地域で実践していきます。自然と共にあることが、大きな価値を生むことを確信しています。

10 - チャレンジ
これからの
群馬の風景を育てる
関東平野の北に位置する群馬県。南部には平野が広がり、西部と北部に山地があります。地盤が強く、自然災害リスクが低い土地と言われています。これから人口が減る中、限られた人数で有機農業を続けるには、病気や虫害に強い独自の品種を開発することが重要です。私たちは「中山間地域に広がるブドウ畑」の風景をつくり出したいと考えています。その風景の中で暮らすことによって、人間もまた育まれることを期待しています。
関東平野の北に位置する群馬県。南部には平野が広がり、西部と北部に山地があります。地盤が強く、自然災害リスクが低い土地と言われています。これから人口が減る中、限られた人数で有機農業を続けるには、病気や虫害に強い独自の品種を開発することが重要です。私たちは「中山間地域に広がるブドウ畑」の風景をつくり出したいと考えています。その風景の中で暮らすことによって、人間もまた育まれることを期待しています。